週刊スイング会議

ドル円急落も円安トレンドは継続? 次は英中銀へ備えを

この連載では日本を代表するスイングトレーダーの1人であるバカラ村さんに注目の通貨ペアやトレード戦略、見通しなどを毎週水曜日に取材し、記事にまとめて更新していきます。

日銀利上げ、米ドル/円急落

――今日(2024年7月31日)は日銀会合でした。日銀は利上げを発表し、さきほど植田日銀総裁の記者会見が終わったところですが、米ドル/円が151円を割って急落しています。

バカラ村さん

会見中からじわじわと下攻めしていましたから、下げるのかなというイメージはありましたが激しいですね。

――150円ちょうどの手前まで下げてきました。

バカラ村さん

約3週間で11円下げていますが、基本的にはポジション調整による下落だと思います。

「円安トレンドの終わり」といった声もありますが、2022年末にも152円から127円まで調整しました。それを思えば「円安トレンドが終わった」と判断するのはまだ早いでしょう。

――再び円安方向に向かう可能性もある、と。

バカラ村さん

日米金利差が目安のひとつになると思います。政策金利はアメリカが5.5%、日本は今日利上げして0.25%。まだ5.25%の金利差があります。

あるストラジテストによると、金利差が5%以上だと米ドル/円を押し上げるし、4.75%以下に縮小すると調整リスクが高まるそうです。

9月にアメリカが0.25%利下げしても金利差はまだ5%ありますから、円安が進む余地があるということになります。

日米金利差は5%が分水嶺

米ドル/円、セリクラで拾うか、指値で買うか

――そうであれば、どこかで米ドル/円は拾ってもいい、ということになります。

バカラ村さん

長期であればすでに買ってもいい水準だと思いますが、スイングであればもう少し待ちたいですね。

会見終了直後から「待ってました!」とばかりに売られているので、そうすぐには下げ止まらないと思うので。

――買うとすれば?

バカラ村さん

セリング・クライマックスのようにつっこんで下げてくれれば、買ってもいいと思います。

――OANDAのオープンオーダーをみると、150円割れにはストップが溜まっているようです。

バカラ村さん

150円を割ってストップを狩ったところがセリング・クライマックスになるかもしれないですね。

――チャート的には?

バカラ村さん

トレンドラインが148円台半ばなので、そのあたりが目安でしょうか。

あるいは2023年12月を起点としたフィボナッチ・リトレースメントの61.8%、2023年1月起点の38.2%も同じくらいの水準にあります。2つのフィボナッチの重なりをエントリーに利用するという方法もあるため、このあたりに指値を入れておこうかなと考えています。

148円台半ばが買い指値のメドか

8月1日、英中銀も大きなイベントに

――このあとはFOMC、明日(2024年8月1日)にはBOEも控えています。

バカラ村さん

FOMCは金利据え置きで、9月利下げの予告があるかどうか。予告して瞬間ドル安となっても、市場は9月利下げを織り込み済みですから、そんなには続かないと思います。

注目しているのはBOEですね。個人的には利下げすると思いますが、市場の見方は割れています。利下げすれば素直に下げるでしょう。

――ポンドを売るとしたら、通貨ペアは?

バカラ村さん

ユーロ/英ポンドで考えています。

この2か月弱、豪ドル/NZドルが上がっていました。利下げが遠い豪ドルと年内利下げが見込まれるNZドル、金融政策が対照的だったためです。同じことがユーロ/英ポンドでも起こるのではないかと思っています。ユーロはこの先の利下げが限定的で、ポンドは複数回の利下げが必要と、対照的だからです。

ただ、話している間にユーロ/英ポンドが上がってきてしまったので、別の通貨ペアに変えるかもしれません。

荒れ相場でメンタルを保つために

――最近の米ドル/円は荒れていますし、メンタルを傷めている人も多いようです。負けているときの対処法は?

バカラ村さん

2、3連敗すると「もう一生勝てないんじゃないか」と思うことはあります。取り返そうと考えて、さらに傷を深めることもありました。

そんなときは「状況が揃う」のを待つようにしています。ファンダメンタルズやテクニカルをチェックし、トレンド方向へのポジションであるかどうかを確認し、すべての状況が揃っていたら、やっとポジションを取ります。

――エントリーのフィルターを強めるんですね。

バカラ村さん

それでも負けたら、ボロボロになりますけど(笑)

――これだけ相場が動いていると、負けていたらもちろんですし、トントンであっても周りの人の爆益報告を聞いて熱くなってしまう人も多いかと思います。

バカラ村さん

ただ、トレードは適度に熱くなっているほうがいいとも思います。

僕は常に冷静なイメージを持たれるみたいですが、そんなこともありません。トレードでは「勝とう!」という覇気が必要だし、そのためには少し熱くなっているくらいがちょうどいいんじゃないでしょうか。

――なるほど。相場が動いているのにお時間をいただいてありがとうございました!

バカラ村さんのプロフィール

専業トレーダー。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト。歴代優勝者にラリー・ウィリアムズなどが名を連ねる世界的なトレード大会「ロビンスカップ」では2015年に日本人として初の優勝を飾る。自身のポジションを配信するメルマガ(2023年9月で配信終了)では、2022年から累計1640pipsを獲得した。

バカラ村さんが配信していたメルマガでの成績です。メルマガはすでに配信を終えましたが、参考までに表示しておきます。

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