この連載では日本を代表するスイングトレーダーの1人であるバカラ村さんに注目の通貨ペアやトレード戦略、見通しなどを毎週水曜日に取材し、記事にまとめて更新していきます。
FOMCはドル安イベントか
※先週は更新をお休みさせていただきました。申し訳ありませんでした。
――19日の日銀、20日のFOMCを通過しました。
ドル安に向かい始めたようです。
市場はタカ派的な会合を期待していましたが、FEDの姿勢自体はほぼ変わっていません。そのため期待が剥落し、ドル安に向かうのではないか、と。
――年内の利下げ回数の予想について、一部では2回へ減るのではとの期待もありましたが3回のまま据え置きでした。
利下げの開始を7月に後ろ倒ししてもいいように思いますが、やる気になっているように見えました。
結局、パウエルさんは何も変わっていませんが、市場が期待しすぎた、といいうところでしょうね。
――その結果、ドル安が進む、と。
ドルストレートの日足を見ていると、多くの通貨ペアでもう少しドル安へ向かいそうな形です。米ドル/円以外は、ですが。
ユーロ/米ドルならば1.10くらいまではあってもいいのでは、と。
ドル円、152円チャレンジの行方は
――米ドル/円は?
ドル安方向が合っているとすれば、米ドル/円が上がるには円安の力が必要です。
市場は152円を一気に攻めたいようですが、152円で止められる可能性もまだ6割くらいあると思っています。
――その根拠は?
週足や月足を見るとアセンディング・トライアングルになっています。
アセンディング・トライアングルで上値をブレイクするのは4回目とするのがセオリー。今回はまだ3回目なのでブレイクしやすいのは次のトライのときかな、と。
米ドル/円 週足
マイナス金利解除で重みを増す植田発言
――では米ドル/円は売りですか?
かといって状況的に米ドル/円を売るほどの材料もありません。期待できるとすれば要人発言くらいでしょうか。
――鈴木財務相や神田財務官の口先介入ですか?
「ファンダメンタルズに即していない」とかその手の発言ではなく、植田日銀総裁のタカ派的な発言ですね。
――昨夜もNikkei Asiaが7月か10月の利下げの可能性を指摘し、円高が進みました。日銀の金融政策は海外勢も注目しているようですね。
日銀がYCCを撤廃し、円金利は動きやすくなりました。
植田さんのタカ派的な発言をすれば円金利が上昇し、日米金利差の縮小をもたらす。それにより米ドル/円が下がる可能性も高まっています。あくまでもタカ派発言が出れば、ですが。
豪ドル/米ドルの買いを保有中
――今のポジションは?
豪ドル/米ドルの買いです。
3月8日高値(0.6668)くらいまでの上昇余地はあるのかな、と思いますし、あわよくば0.6850くらいまで上がらないかなと見ています。
――0.6850は遠いようにも思いますが……。
去年、何度か乗せた水準ですが、0.6800台へと向かうときは直線的に上がっているんです。
今回も同じような形になれば、と期待しています。その手前、3月8日高値で利食ってしまうかもしれませんが。
豪ドル/米ドル 日足
――豪ドル/円ではないんですね。
豪ドル/円は節目の100円にのせましたが、米ドル/円が152円手前だと円を売りづらいためです。
米ドル/円が152円手前の水準にいるとクロス円は手掛けにくいですね。152円を抜けてしまえば買えるのですが……。
ポンドに買いの検討余地
――その他の通貨ペアで注目しているのは?
もし豪ドル/米ドルを持っていなければ、英ポンド/米ドルを買うかもしれません。この直後に金融政策発表なので、それ次第ですが。
投資戦略フェアで利用したグラフを覚えていますか?
――これですね。バカラ村さんは豪ドル、NZドル、英ポンドの3通貨は利下げが遠いのではないかと指摘していました。
この3通貨で、ファンダメンタルズに大きな変化がないのに「意外と利下げが早いのでは」といった予想が出たりして下げたときは買いを検討します。
――なるほど、今日もありがとうございました!
バカラ村さんのプロフィール
専業トレーダー。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト。歴代優勝者にラリー・ウィリアムズなどが名を連ねる世界的なトレード大会「ロビンスカップ」では2015年に日本人として初の優勝を飾る。自身のポジションを配信するメルマガ(2023年9月で配信終了)では、2022年から累計1640pipsを獲得した。