この連載では日本を代表するスイングトレーダーの1人であるバカラ村さんに注目の通貨ペアやトレード戦略、見通しなどを毎週水曜日に取材し、記事にまとめて更新していきます。
金利差から乖離して上がる米ドル/円
――久しぶりの更新となってしまい申し訳ありません。バカラ村さんの現在のポジションは?
ユーロ/スイスフランのロングを決済したので、現在はノーポジです。
――6月になって為替市場にも動きが出てきたようです。昨日(6月4日)は「リスクオフ」の言葉も飛び交いました。
為替市場をみるかぎり、リスク回避の動きでしたね。最近ずっと売られていたスイスフランも買われました。
違和感を覚えたのは日銀会合(6月14日)に向けた観測報道です。利上げ観測や6月会合での量的緩和縮小の観測が出ていますが、実現は難しいと思います。
円高方向に動いてもポジション調整にすぎず、それが終わればまた円安になると考えています。
――昨日(6月4日)は155円を割り込む場面もありました。米ドル/円のチャートはどう見えていますか?
日米金利差と米ドル/円の乖離が気になりますね。日米金利差は縮小してきたのに米ドル/円は高止まりしたままです。
金利差から見れば147円くらいまで下げてもおかしくないですし、もしチャートだけで判断するなら売りなのですが……金融ショックなどが起きないかぎり、そこまで下げることはなさそうです。
日米金利差縮小もドル円は高止まり
メキシコペソの急落、カナダ利下げと米ドル安
――昨日はメキシコペソ/円の急落も注目されました。
普段から見ているわけでないですが、雑に見通しを描くと8.50~9.50円くらいでのレンジが2、3か月続くチャートに見えますね。
急落したメキシコペソはレンジ入りか
――その他の通貨では?
カナダドルが注目です。今夜(6月5日夜)政策金利が発表されますが、利下げがコンセンサス。今日を入れて年内4回利下げとの見通しも出ています。
――ということはカナダドル売りですか?
いや、カナダドルと米ドルはどちらかが弱くなると、もう片方も弱くなる傾向があります。今夜の中銀会合がハト派的でカナダドル安となるなら、ドル安にもなるのではないか、と。
先月は利下げ予想が年内1回未満まで後退してもドル高は限定的でした。ドル高方向はもう限界でドル安になりやすいのではないかとも思っています。
豪ドル/円は超長期のレジスタンス超えトライ
――ドル安だと米ドル/円も下がりませんか?
ドル安と円安ですが、円安のほうが強くて米ドル/円はジリジリ上がるイメージです。そのためドル売りだけでなく、クロス円の買いでもいいのかな、と。
――米ドルを売るなら相手通貨は?
ユーロや英ポンドも利下げを控えているので、オセアニア通貨でしょうか。5月はNZドルが強かったため、今度は豪ドルが上がる順番かなと考えています。
――豪ドル/円の買いでもいいですか?
そうですね。ただ105円台は超長期のレジスタンス。2013年とリーマンショック前の高値です。
夏枯れ前にトレンド発生へ
――5月は為替介入後、ボラティリティが低下していましました。6月は動いてほしいですね。
月初から動いていますし、トレンドが出るのではないでしょうか。6月はトレンドが出て、そのあとは夏枯れでボラが低下するイメージです。
トレンドが出るとすればドル安、円安を見込んでいます。あとは今夜のカナダ中銀、金曜日の米雇用統計次第でしょうか。
――ありがとうございました!
バカラ村さんのプロフィール
専業トレーダー。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト。歴代優勝者にラリー・ウィリアムズなどが名を連ねる世界的なトレード大会「ロビンスカップ」では2015年に日本人として初の優勝を飾る。自身のポジションを配信するメルマガ(2023年9月で配信終了)では、2022年から累計1640pipsを獲得した。