この連載では日本を代表するスイングトレーダーの1人であるバカラ村さんに注目の通貨ペアやトレード戦略、見通しなどを毎週水曜日に取材し、記事にまとめて更新していきます。
「行きすぎた利下げ織り込み」の逆回転でドル高へ
――久しぶりの更新になってしまい申し訳ありません。今のポジションは?
スイングのポジションはありません。
米ドル/円をどこかで買えたらというのが今の戦略です。
――その理由は?
根底にあるのは「アメリカの年内1%利下げ織り込みはやりすぎだろう」ということ。
9月18日の0.5%利下げ織り込みが43%もあります。「そこまで米経済が弱いのかな?」と。織り込まれすぎた利下げ期待が逆回転してドル高となる場面があるのではと考えています。
――年内のFOMCは9月18日、11月7日、12月18日の3回。この3回で1%下げるなら、どこかで0.5%の利下げが必要です。
今週発表される米雇用統計などの経済指標が強い数字になれば0.5%織り込みが後退するのではないでしょうか。
ただ、それは消滅するのではなく「9月ではなく11月に」といったように後ズレていくイメージです。
大注目の米雇用統計。その瞬間、バカラさんはどこに?
――その意味では米雇用統計などの経済指標は重要ですね。
今回の米雇用統計はめっちゃ重要ですね。
――当然、バカラさんもトレードに集中するわけですよね?
今回の雇用統計がここまで重要になるとは思っていなかったので、予定を入れてしまったんですよね……。
外為どっとコムさんでの雇用統計セミナーがあるんです。
ドル円、143円台は買いか
――セミナー中、スマホでトレードするしかないですね。
セミナー中はともかく、今週はISMサービス業などもありますし、経済指標が強い数字で上がれば短期で買うでしょうし、ここからジリジリと下がっていけばチャートを見ながらスイングポジションとして買っていくと思います。
――押し目のメドは?
143円台があれば買うかもしれないですし、そこまで下がらなければ4時間足や1時間足などチャートの形を見ながらの判断になるかもしれません。
161.95円からフィボナッチ・リトレースメントを引くと、38.2%できれいに叩かれています。チャートだけで判断すれば売りの形ですし。
ドル円のフィボナッチ・リトレースメント
――それでも米ドル/円の買いを狙うのは?
日米金利差ですね。8月5日以降、日経平均は全戻ししたのに、米ドル/円は戻りが弱い。それは日米金利差が縮まっていたからではないかと思うんです。
ただ、先ほども話したように米金利は下げすぎていると思うので、日米金利差が再び拡大するとともに米ドル/円も上がっていくのではないか、と。
――戻りのメドは?
152円は難しいでしょうし、がんばって150円程度でしょうか。トレードとしては148円あたりまで戻れば決済を考えると思います。
ドル円と米10年債利回り
ユーロ/米ドルは上昇トレンド中の押し目形成へ
――ドル安の修正=ドル高であればユーロ/米ドルも下方向ですか?
1.10割れくらいまではあるかもしれません。
ただユーロ/米ドルは中期的には上昇トレンドであって、上昇トレンド中の押し目が1.10割れくらいだと見ています。
――ありがとうございました!
バカラ村さんのプロフィール
専業トレーダー。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト。歴代優勝者にラリー・ウィリアムズなどが名を連ねる世界的なトレード大会「ロビンスカップ」では2015年に日本人として初の優勝を飾る。自身のポジションを配信するメルマガ(2023年9月で配信終了)では、2022年から累計1640pipsを獲得した。