この連載では日本を代表するスイングトレーダーの1人であるバカラ村さんに注目の通貨ペアやトレード戦略、見通しなどを毎週水曜日に取材し、記事にまとめて更新していきます。
ブラックマンデー安値を割ったドル円
――先週の雇用統計セミナー、おつかれさまでした。次回も期待しています。
乱高下がきつかったですね。
次回は、また声をかけてもらえるならあるかもしれないですね。
――ドル円は今日、8月5日のブラックマンデー安値(141.68円)を下抜けました。
よく動いていますね。
140.70円まで下げたあとの戻り高値がちょうど8月5日安値近辺。チャートポイントで折り返したということは下降トレンド継続と考えざるを得ないですね。
8/5安値できれいに折り返す
ドル円の下値メドは140円、その下は137円台後半
――下値メドは?
チャートポイントで折り返して下落が続くということなら先ほどの安値140.70円も割り込むことになります。140円の大台の節目、その下だと去年7月の安値付近となる137円台後半あたりでしょうか。
ただ、このあとCPIもあるので難しいですね。売りポジションは持っていますが、CPIまでに決済するかもしれないですし。
ドル円の下値メド
――そもそも先週のバカラ村さんは上目線でしたよね。
今も気持ち的には「円高もそろそろ終わりでいいだろう」と思っています。そこまで円を買う理由も思いあたらないですし。
ドル円は米金利につれて動いているということなんでしょう。
このままの織り込みだと9月18日FOMCはドル高イベントに
――9月18日FOMCでの0.5%利下げ期待は根強いですね。FedWatchでの織り込みは30%です。
株式市場の人たちが0.5%を期待しているのかなと理解しています。彼らにとっては大幅利下げのほうがありがたいので。
――ただ、その期待はいずれ剥落し、ドルが買い戻される、というのがバカラ村さんのシナリオでした。FOMCは1週間後に迫っています。
以前は「FOMCまでに」ドル安が修正されドル高が進むと考えていましたが、今は「FOMCで」そうなるのかなと修正しています。
あるいは今夜のCPIで極端に弱い数字が出れば0.5%利下げの可能性もあるのかもしれませんが……。それであれば7月に利下げしておけばよかった、ということにもなります。
ユーロ/円、WTI原油の下落は
――クロス円はいかがですか?
弱いですね。とくにユーロ/円はヘッド&ショルダーを形成しつつあるようにも見えます。
ユーロ円のヘッド&ショルダー
――ネックラインを割って大きく下げる、と?
ただ、「そんなに円高が進むか?」という思いがあるのでネックラインで反発するか、抜けてもすぐに戻ってきて上がるイメージです。
――コモディティ、とくにWTI原油が下げていますね。
日足で見れば下げていますが、週足だとレンジの下限。原油が大きく下げるのは金融ショック時が多いので、今回はレンジ下限で反発するのではないかと見ています。
WTI原油の週足レンジ
不調の原因はイメージのずれ
――今のポジションは?
先ほど言ったドル円の売りくらいです。最近はデイトレードやスキャルピングで稼いで、スイングで溶かす、といったことが続いています。
――不調の原因は?
少しずつイメージがずれています。
0.5%利下げ織り込みがここまで根強いと思わなかったり、ショートカバーで144円台をつけると思っていたら手前で折り返したり、豪ドルが思ったほど強くなかったり、反対にポンドは思ったより強かったり、と。
――ありがとうございました!
バカラ村さんのプロフィール
専業トレーダー。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト。歴代優勝者にラリー・ウィリアムズなどが名を連ねる世界的なトレード大会「ロビンスカップ」では2015年に日本人として初の優勝を飾る。自身のポジションを配信するメルマガ(2023年9月で配信終了)では、2022年から累計1640pipsを獲得した。