この連載では日本を代表するスイングトレーダーの1人であるバカラ村さんに注目の通貨ペアやトレード戦略、見通しなどを毎週水曜日に取材し、記事にまとめて更新していきます。
円高が進行、オセアニア通貨が弱い
――米ドル/円が下げてきました。円高ですか?
円高とともにドル高も進んでいます。そのためクロス円がいちばん弱くなっていますね。
――クロス円だけを見ると、大きなリスクオフがあったのかな?というようなチャートです。
とくにオセアニア通貨が弱いですね。コロナショックを思い出してしまうようなチャートです。ともにリーマンショック前の高値を抜けていたのですが、押し戻されてしまいました。リーマンショック前の高値は重いですね。
クロス円の日足一覧
今回は日銀の作戦が成功?
――円高やオセアニア通貨安、なにが影響しているのでしょうか?
円高については、来週31日の日銀での利上げ警戒感が高まっています。
日銀はこれまで、「政策変更の気配を出して円安を回避しつつ、結果は現状維持」ということをやろうとして失敗してきたように思います。今回はそれが成功しているのではないか、と。
オセアニア通貨に対しては、トランプさんの副大統領候補となったバンスさんが中国に嫌悪感を示していることが逆風となっているようです。ただ、理解できないほどの下げ方ではあります。
――今のポジションは?
デイトレードだけで、スイングについてはノーポジです。大きな反発の可能性も秘めた値動きなので、手仕舞っておこうと。
米ドル/円もクロス円もチャートは弱いですね。豪ドルは下げ止まれば買ってもいいかと思っていましたが、まだ買うタイミングではなさそうです。
31日はイベント集中、勝負の日に
――来週31日は日銀、月末ロンフィク、FOMCなどイベントが重なります。
7月31日のイベント予定
- 10:30 豪・四半期CPI
- お昼ごろ 日銀・金融政策発表
- 15:30 植田日銀総裁・会見
- 18:00 ユーロ圏HICP
- 19:00 外国為替平衡操作の実施状況(7月分介入実績)
- 24:00 月末ロンドンフィキシング
- 27:00 FOMC政策金利発表
- 27:30 パウエルFRB議長・会見
FOMCはほんのわずか利下げを予想する向きもありますが、現状維持でしょう。
日銀は利上げ予想がもっと増えてきたらおもしろいと思います。
――現在の利上げ織り込みは30%程度のようです。
それがもっと増えて、利上げ予想が大勢を占めたところで現状維持、というのがもっとも値動きの出そうなシナリオ。162円は遠くなりましたが、だからこそ、利上げを見送ることもできます。
――そうなった場合のトレードシナリオは?
もし予想が利上げに偏れば会合前に米ドル/円を買ってもいいと思っています。
あるいは中国懸念などが払拭されているようなら豪ドル/円にするかもしれません。
8月1日のBOE、波乱の予感
――日銀の翌日、8月1日にはBOEもありますね。
英ポンドは先進国でいちばん利下げが必要な通貨だと思いますが、利下げの織り込みはまだ進んでいません。
結果がどうあれBOE後のポンドは荒れるのではないでしょうか。
――ありがとうございました!
バカラ村さんのプロフィール
専業トレーダー。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト。歴代優勝者にラリー・ウィリアムズなどが名を連ねる世界的なトレード大会「ロビンスカップ」では2015年に日本人として初の優勝を飾る。自身のポジションを配信するメルマガ(2023年9月で配信終了)では、2022年から累計1640pipsを獲得した。