この連載では日本を代表するスイングトレーダーの1人であるバカラ村さんに注目の通貨ペアやトレード戦略、見通しなどを毎週水曜日に取材し、記事にまとめて更新していきます。
米CPIでレンジ脱出なるか
――米ドル/円は3月の日銀、FOMCを通過してから3週間、ほぼずっと151円台で推移しています。
去年も150円手前で膠着しましたが、これだけ狭い値幅で膠着するのは珍しいですね。
ただ今夜(4月10日21時30分)は米CPIが発表されます。レンジを抜ける可能性は充分にありますし、動きやすいのは下方向でしょう。
米ドル/円 4時間足
ドル円下落時のターゲットは149円
――レンジを下抜けしたときのターゲットは?
149円を割るような下落になるかもしれないと思っています。
ただ、ファンダメンタルズは上方向。長くて1週間程度で終わる「短期決戦」の下落になるのではと考えています。
――先週4月5日にも151円を割れる場面はありましたが、すぐに反転して戻ってきています。
今夜の米CPIが弱くて下げたのにすぐ戻ってきてしまうようだと、次はいよいよ152円を突破するのではないでしょうか。
152円ブレイクは激しい値動きに
――そのときの値動きのイメージは?
152円超えにはストップと利益確定が相当たまっていますから値動きは荒くなる。
ストップでいったん跳ねてから利益確定でゆるんで、再び跳ねて152円50銭から80銭程度まで上がるのではと、そんな動きが1時間くらいの間に起きるイメージです。
――さらに上、155円方向をめざしますか?
現在の膠着の原因はオプションと介入警戒感です。152円突破でオプションの影響は薄まるとしても、介入警戒感はさらに高まります。
介入警戒感が高まる中、152円台を買い上げていくとは思えないですから、152円ブレイクが天井になる可能性もある。超短期であれば152円ブレイクで跳ねたところは売ってもいいかなと考えています。
豪ドルはファンダ的に強気
――バカラ村さんのポジションは?
米ドル/円の売りがありますが、CPIを控えているため、決済する予定です。
注目しているのは豪ドルですね。何度か話しているように豪ドルは主要通貨のなかで利下げがもっとも遅くなるのではと考えています。そのため、まだ上がる余地はありそうです。
――豪ドルを買うとしたら通貨ペアは?
米ドル/円がこの膠着ぶりだと、対円は買いにくい。
豪ドル/米ドルか、あるいはファンダメンタルズだけで考えるなら豪ドル/スイスフランもいいかもしれません。
豪ドル/スイスフラン 日足
――チャートはトリプルボトムのようになっていますね。
マイナーな通貨ペアなので、あくまでもファンダメンタルズだけが理由です。
利下げが遠い豪ドルと、主要通貨でもっとも早く利下げし6月も利下げが濃厚なスイスフラン――。金融政策は対照的です。
ユーロ買いのタイミングがあれば
――その他には?
今すぐではないのですが、ユーロ買いを視野に入れています。
――ユーロは6月6日の理事会で利下げが見込まれていますが……?
タカ派な人さえ6月利下げを言い始めていて充分すぎるほど織り込まれています。
スイスはCPIが1%(3月、前年比、以下同)まで低下したため利下げしましたが、ユーロ圏は2.4%。景況感は悪いですが利下げを急ぐ必要はないと思います。
――ユーロ圏では明日(4月11日)がECB理事会です。
明日は6月利下げをにじませるでしょうが、そのうち7月への延期などを言い出す人が出てくるかもしれない。
利下げが織り込まれすぎるほど織り込まれているだけに、反対方向の発言には反応しやすいのではと期待しています。
――売買戦略としては?
利上げ時期の後ずれを言い始める人が出るとしても、早くて4月下旬からでしょう。
焦らずに今月下旬から来月あたりにユーロ/米ドルが下げたところを買っていく、というのが今描いているイメージです。
バカラ村さんのプロフィール
専業トレーダー。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト。歴代優勝者にラリー・ウィリアムズなどが名を連ねる世界的なトレード大会「ロビンスカップ」では2015年に日本人として初の優勝を飾る。自身のポジションを配信するメルマガ(2023年9月で配信終了)では、2022年から累計1640pipsを獲得した。